家賃の値下げ交渉をする方法を3つの手順で解説!

生活
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この世の中には、ある意味で究極の節約方法があります。
それは、家賃を下げて「住居費という最大の固定費」を下げること。

しかしそのためには、

  • 家賃が安い家に引っ越す
  • いま住んでるの家の家賃を下げてもらう

という2つの選択肢しかありません。

家賃が安くなるとはいっても、実際に引っ越すとなるとけっこう負担が大きいものです…。

  • 新しい家を探す
  • 引越し業者を探す
  • 大量の荷造りをする
  • いまの家を退去する
  • 新しい家に入居する
  • 大量の荷解きをする

ざっと考えてもこれだけの作業が必要です…。
僕自身も何回か経験ありますが、けっこう大変です…。

こんなに手間がかかるなら、いま住んでる家の家賃を下げてもらうほうが手っ取り早い!

ということで今回は、家賃の値下げ交渉に必要な

  1. 値下げ交渉額を決める
  2. 値下げ交渉をはじめる
  3. 「調停」と「更新拒否」を検討する

という3つの手順を解説していきます。

この方法は、日向咲嗣さんの著書
『家賃は今すぐ下げられる! 家賃崩壊時代にトクする知恵』
の中で紹介されていたものです。

なかなか馴染みのない「家賃の値下げ交渉」も、実は法律で認められているれっきとした「権利」です。
いまの家賃に納得していない人や少しでも家賃を安くして節約したい人は、この手順を参考にしてぜひ家賃交渉に挑戦してみてください!

家賃の値下げ交渉は法的に認められた権利!

家を借りている側(店子)からの家賃の値下げ交渉は、「借地借家法」という法律の中で「賃料増減請求権」として認められています。
こまかい法律の条文はここでは書きませんが、ざっくりと言うと
「契約で定めてある家賃が、さまざまな事情で“不相応”となったときには、家賃の増減を請求できる」
という内容の権利です。

このとき必要となる“不相応”という条件は、以下の3つのどれかに該当すれば満たすことができます。

  • 土地・建物に対する固定資産税などの税金の増減
  • 土地・建物価格の上昇または低下、その他の経済事情の変化
  • 近隣にある同じような建物に比較して不相当

ちなみに、さっき省略した条文の中には「契約の条件にかかわらず」と書かれています。
これは、もし仮に契約書の中で「○年間は家賃の減額はしない」なんて特約が書かれていても、その特約は無効という意味です。
つまり、「家賃の減額はしない」という特約があったとしても、店子側からの値下げ請求はできるようになっているのです。
他にも「ただし、一定の期間建物の賃貸を増額しない旨の特約がある場合には、その定めにしたがう」とも書かれています。

これは、もし仮に契約書の中で「○年間は家賃の増額はしない」なんて特約が書かれていたら、その特約は有効という意味です。
つまり、「家賃は増額しない」という特約があった場合には、大家側からの値上げ請求ができないようになっているのです。

実際の裁判で「賃料増減請求権」が認められる条件は、以下の3つ。

  • 現行の賃料が客観的に見て「不相応」になったこと
  • 前回の改定から相当の時間が経過していること
  • 「増額しない」という特約がないこと(大家からの増額請求の場合)

いろいろと説明しましたが、要は、
「周辺の家賃相場は下がっているのに、何年も同じ部屋に住み続けている自分は入居時と同じ家賃を払い続けているような場合」
は、家賃の値下げを請求する権利があるということです!

*ここで述べている内容はあくまで一般的な考え方です。個別の事情によっては認められない可能性もあるのでご注意ください。)

【手順1】値下げ交渉額を決める

値下げ交渉する権利があることがわかったので、さっそく交渉を初めましょう!
と言いたいところですが、やみくもに「家賃下げてくださーい!」とお願いしたところで有利な交渉はできません…。
まずは「値下げ交渉の金額」を決めましょう!

値下げ額を決める際には、近隣の家賃相場や、いま住んでいるアパート・マンションの家賃を参考にしてください。

近隣の家賃相場の調べ方については、こちらの記事も参考にしてください。

「引っ越し代」も考慮しよう

ここで忘れがちなのが、引っ越し代。 

いまの家賃が10万円の人の例で考えてみましょう。

【パターン1】これから2年間そのまま住み続ける場合

家賃24ヶ月分240万円
更新料1回(1ヶ月分)10万円
総額250万円

【パターン2】同じような条件の8万円の家に引っ越す場合

家賃24ヶ月分192万円
更新料なし0円
敷金1ヶ月分8万円
礼金1ヶ月分8万円
仲介手数料1ヶ月分8万円
引越し費用約1ヶ月分8万円
総額224万円

【パターン3】家賃を1万円下げて9万円で住み続ける場合

家賃24ヶ月分216万円
更新料1回(1ヶ月分)9万円
総額225万円

こうして「2年間の総額」で見てみると、

  • 値下げをあきらめて8万円の家に引っ越す場合
  • 引っ越し代を考えずに9万円に値下げしてもらう場合

の2つは、あまり大差ないですよね。
むしろ引っ越したほうが超微妙におトクかも…。

「とりあえず1万円くらい安くなれば良いかな〜」
といった、なんとなくの感覚で交渉額を決めてしまうと、「引っ越したほうがトクする」という可能性が出てきてしまうのです!

「めやす賃料」が活躍!

ここで活躍するのが、「めやす賃料」という考え方。

めやす賃料については、こちらの記事で解説しています。

この「めやす賃料」の考え方を使って

  • 安い家賃の別の家に引っ越した場合
  • 家賃を下げてもらって住み続けた場合

の2つのパターンを、「2年間にかかる総額を1ヶ月分の家賃に換算して比較する」ことで正確な損得ラインを見極めることができます。

さっきも使った、家賃が10万円の人の例で考えてみましょう。

まず、
「相場家賃の8万円の家に引っ越した場合に2年間で必要になる費用の総額」
「1ヶ月あたりの家賃」に換算します。

さっき計算したように、8万円の家に引っ越した場合の総額は224万円です。
この総額224万円を、2年間(=25ヶ月)で割ることで、「1ヶ月あたりの家賃」に換算できます。(*引っ越さない場合は、更新料1ヶ月分が必要なので25ヶ月で計算)
計算すると、
224万円 ÷ 25ヶ月 = 8.96万円
この「8.96万円」が
「引っ越しをせずに2年間の総額224万円と同額になる家賃」=「損得ラインの家賃」
ということです。

家賃交渉でここまで値下げできれば、今の家に住み続けても損することはありません。
この人の場合の最終的な結論としては、

  • 理想の値下げ額が、近隣相場の8万円
  • 最大限譲歩して、8万円の家に引っ越した場合と同等の約9万円
  • 9万円が無理なら、8万円の家に引っ越す

ということになります。

細かい理屈が理解できなくても気にしなくて大丈夫です。
希望する値下げ額を決める際のいわゆる「損益分岐点」
「近隣にある相場家賃の部屋に引っ越した場合にかかる2年間の総額」 ÷ 「25ヶ月(いまの家が更新料ないなら24ヶ月)」
と覚えておけば、あとは計算するだけです!

【手順2】値下げ交渉をはじめる

希望の値下げ額が決まったら、いよいよ値下げ交渉です。

基本的には、いつ交渉しても問題ありません。
いますぐ安くしたい!というなら、いますぐ交渉を始めてもかまいません。

ですが、新たに契約を交わすタイミング、つまり「2年に1度の契約更新のタイミング」がベストではあります。

契約を更新するためには、新しい契約書に「ハンコを押す」という行為が必要不可欠。
なので、そのタイミングで値下げ交渉をされたら、大家側としても真剣に考えざるを得なくなるというわけです。

「更新のお知らせ」の文書が来たら、それに返信する形でこっちも「家賃減額請求」の文書を送りましょう。
(*このとき送る文書のひな形は、ネットで検索するといっぱい出てきます。こちらなど。)

希望額と根拠を伝えるのが重要

このとき送る文書には、以下のポイントを盛り込みます。

  1. いまの家賃が客観的に「不相応」になっている事実を指摘する
  2. 契約更新にあたって「家賃を○○円にしてほしい」と希望額を明記する
  3. こっちの主張の根拠となるデータを加える

それぞれを詳しく説明すると、以下のとおりです。

1 事実の指摘

  • 近隣相場は下落してるのに、何年間も安くなってない
  • 結果として、いまの家賃は相対的に高い
  • この2つを主張

2 希望額

  • 経済状況の変化に応じた家賃を記載
  • 希望額という形で明確にする

3 根拠データ

  • 「同じ建物の別の部屋」のデータを同封
  • 近隣相場のデータしかない場合は、触れない
  • 近隣相場を持ち出すと「細かい条件が違う」と逃げられる

これらのポイントを盛り込んだ文書が完成したら、管理会社か大家に郵送かメールで送付します。
必ず、送付した日付の記録や、文面のコピーは残しておきましょう。
また、後々になって「届いていない」と言われないように、日を改めて電話して、文書が届いているかどうかも確認しておきましょう。

大家の反応で対応を変える

文書を受け取った大家側の反応としては

  1. 希望通りの減額承認の返事がくる
  2. 無視されるor拒否の返事がくる
  3. 一部減額承認の返事がくる

の3パターンが予想されます。

1だった場合は、お疲れさまでした!
これで交渉は終了です!

2だった場合でも、まだ諦めてはいけません!
手順3へ進んでください。

 

3がよくあるパターンなのですが、これで丸め込まれないように気をつけてください。

さっきから使ってる「家賃10万円」の例で考えてみると…

仮に「9万5000円なら値下げできます」と返事がきたとしましょう。
9万5000円というと、相場の8万円より1万5千円も高い金額です。
この金額のまま、少なくとも次の更新までの2年間を過ごさなきゃいけません。
損益分岐点の9万円にすら届いていないので、これなら8万円の家に引っ越したほうがお得じゃないですか!

こんな結末にならないためにも、最初に設定する値下げ額が重要になってきます。
もし心のなかで「9万円でも良いかな」と思っていても、あくまで「相場の8万円」で交渉を始めてください。
こうしておけば、仮に9万5000円を提案されても、「最大限譲歩して9万円!」といった二段階の交渉が可能になります。
「こっちも譲歩している」という状況を作ったほうが、交渉が有利に進められます。

【手順3】 「調停」と「更新拒否」を検討する

文書を送ったら、「無視されたor拒否の返事がきてしまった」という方も、最終手段があります…。
それが「調停」「更新拒否」の2つ!

実際に使うかどうかは別としても、こういった方法があるということを知っているだけでも大きな武器になることは間違いありあません!

(*あくまで「1つの選択肢」として書籍の内容を紹介するものであって、個別の法的な紛争の解決を保証するものではありません。実践する際は専門家に相談の上、慎重な検討をするようお願いします。)

まずは「調停」を持ちかける!

「調停」とは、すごくざっくり説明すると「裁判所に話し合いの仲介をしてもらう制度」です。

「判決」という形での結論は出ませんが、正式な裁判所の手続きの1つであることに違いはありません。
調停で合意した内容には、訴訟の判決と同じ効力が認められます。

この調停、実は相手が裁判所の呼び出しに応じない場合、それ以上の強制力は持っていません。
相手を強制的に話し合いの場に引きずり出すことはできないのです。
つまり、無視されたらそこで終わりということ…。

それじゃあ調停したって意味ないじゃん!
と思うでしょうが、それでも「調停の手続きに持ち込む」という事実があるだけで大きな効果があります。

基本的に、「家賃に関する裁判」を起こそうと思った場合、
「裁判を起こす前に調停を経なければならない」
という決まりがあります。

この決まりがあるおかげで、調停を持ちかけると、大家側に対して
「もしかしたら裁判を起こそうとしているのかも…?」
という心理的なプレッシャーをかけることができます。
もちろん、実際に大家側が調停に応じて、調停の場で家賃が下がる可能性もあります。

どっちにころんでも自分が損する可能性はかなり低いものなので、何もしないで泣き寝入りするくらいならチャレンジしてみる価値はありますね!

*詳しい調停の手続きについては、長くなるのでここでは解説しません。こちら(裁判所ウェブサイト)を参考にしてください。

最終手段は「更新契約書」にサインしない!

どれだけ頑張って交渉しても、調停を持ちかけても、大家が認めない限りは残念ながら家賃は1円も下がりません。
ですが、あきらめるのはまだ早い!
最終手段の「更新契約書」にサインしない!という方法が残されています。

更新契約書にサインしないなんて大丈夫?追い出されないかな…?
と心配になるところですが、基本的にはそこまで心配する必要はありません。

なぜなら、もしサインしなかったとしても、単に「これまでの内容で自動的に契約が更新される」だけだからです。
つまり、

  • 家賃は据え置きでそのまま払い続ける
  • 更新手続きはしていないから、更新料は払わなくてOK

ということ。

さらに、ひとたび自動更新されると、それ以降は「期間の定めのない契約」とみなされます。
期間の定めのない契約ということは、「数年ごとの定期的な更新手続きがなくなる」ということなので、以降の更新料も払う必要がなくなります。

この仕組みも「借地借家法」の中で定められていて、「法定更新」といいます。
細かく説明すると長くなるので省略しますが、すごく簡単に説明すると「店子側が家賃を払っている限りは自動的に契約が更新されるので、家賃さえ払っていればいつまでも居座ることができる」という内容です。

つまり、ここでとるべき対応は、この「法定更新」の仕組みを利用して

  • 更新契約書にサインしない
  • 更新料の支払いも拒否する

ということ。
そうすることで、大家側に対して

  • 家賃を下げないで更新料をあきらめる
  • 家賃を下げて更新を合意に持ち込みつつ更新料を請求する

という2択を迫ることができます。

ただしここで1つ気をつけておくべきこともあります。
それが、2011年7月の最高裁判所による「更新料は有効」という判例の存在です。
どういうことかというと、法定更新になったとしても「更新料そのものは有効」だということ。
不動産業者などはこの判例を持ち出して「更新料は支払いの義務があります。だから払ってください」と言ってくる可能性があります。
ただこの判例、単に「更新料は一定の条件を満たした場合は有効」ということを認めただけであって、決して「更新料の支払い義務」まで無条件で認めたわけではありません。
(言葉遊びみたいですが、「更新料を決めても良いよ」は「更新料は払わなきゃダメだよ」という意味にはならないですよね?)
なのでもし不動産業者に「払え」と言われた場合も、「判例では支払い義務までは認めていませんよ」と反論することもできなくはないです。
ですが、いずれにしてもこのような判例がある以上は「仮に訴訟までもつれこんでも絶対に大丈夫!」ということはできません。

最終的には自己判断ということになってしまいますが、法定更新に持ち込む際は最悪のケースを想定しておきましょう。

あくまでも
「家賃の値下げ交渉を合法的に持ちかけたのに一方的に無視されたから、やむを得ず更新料の支払いを猶予している状態です!」
というスタンスを取っておくことが大切です。

おわりに

今回は、家賃の値下げ交渉に必要な手順について、以下の3つを解説しました。

  1. 値下げ交渉額を決める
  2. 値下げ交渉をはじめる
  3. 「調停」と「更新拒否」を検討する

「調停」や「更新拒否」に関しては、最悪の場合、訴訟にまで発展する可能性も否定できないので、実践する際は十分に検討する必要があります。
ですが、値下げしてほしい金額を決めたり、実際に大家や管理会社に交渉を持ちかけるだけならほとんどリスクはありません。

賃貸住宅は1分1秒ごとに古くなっていくもの。
古くなっていくものに対して何年間も同じ家賃を払い続けるほうがおかしいんです。

住まわせてもらってるんだから値下げなんて申し訳ない…なんて遠慮する必要はありません!
借りてる側に認められている正当な権利として、どんどん家賃交渉していきましょう!

今回、参考にした
『家賃は今すぐ下げられる! 家賃崩壊時代にトクする知恵』
の中では、他にも

  • 家賃相場が崩壊しはじめている現状
  • 家賃が安い家の探し方
  • 家賃の値下げ交渉の実録ドキュメント

など、ありとあらゆる「家賃を下げるための方法」が紹介されています。

また、今回の内容にもあった「家賃減額請求文書」の、かなりていねいな内容の“ひな形”も掲載されていて非常に参考になります。
家賃交渉を考えている人にとってはオススメの、必携の1冊と言えるでしょう!

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