「がん」の専門家が教える「がん」を予防する方法とは?

健康
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みなさんは、日本人の死因第一位を知っているでしょうか?
そう、日本人の死因第一位は、「悪性新生物(がん)」です。

厚生労働省「令和元年(2019)人口動態統計月報年計(概数)の概況」より

これだけ多くの方が亡くなっている「がん」ですが、その原因や予防法についてちゃんと理解していますか?
きっと、なんとなく「死の病」といったイメージを抱いている方が大半だと思います。

そこで今回は、がん専門医の水上治さん、作家の大橋弘祐さんの著書
『難しいことはわかりませんが、「がん」にならない方法を教えて下さい!』
を参考に、「がん」を予防するために必要なことを中心に紹介していきます。

医療や科学の進歩によって、「がん」は決して「死の病」ではなくなってきています。
ちゃんと理解して対応すれば、予防もできるし治すこともできる病気です。

今回の記事をぜひ、「がんについて考えるきっかけ」にしていただけたらと思います。

*この記事は書籍の内容を紹介するものであって、個別の健康効果を保証するものではありません。あくまで「情報収集のいち参考」として理解するようお願いします。また、紹介する内容は書籍が書かれた2016年時点のものがメインになっています。

まずは「知識」をつける

「がん」への最大の対策は「知識をつけること」です。

科学技術や医療技術は日を追うごとに発展しています。
「がん」のメカニズムの解明が進んだり、たくさんの治療法が開発されたりしています。
そのため、一昔前と比べると治る場合も多くなっています。

  • 「がん」とは何なのか?
  • 何が原因で発症するのか?
  • 予防する方法はあるのか?
  • どのような検査方法があるのか?
  • どのような治療方法があるのか?

といった情報・知識を集めて、「今できる最善策は何なのか」を自分の頭で考えて判断していくことが不可欠なのです!

そもそも「がん」とは?

「がん」「遺伝子変異によって不制御になった細胞集団」のことを指します。
すごく簡単に言うと、「分裂をやめない細胞」ということです。

基本的に、細胞は一定回数の分裂をしたら死滅するようにできています。
しかし、「分裂をやめない細胞」が増え続けると悪性の「腫瘍」という、めちゃくちゃタチの悪い「おでき」になってしまうのです。

この「分裂をやめない細胞(がん細胞)」の元は、分裂の際に「コピーに失敗した細胞」です。
本来であれば、コピーに失敗した細胞は、失敗した時点で修復されたり死んだりします。
仮に数が増えてもリンパ球(免疫細胞)が殺してくれます。
ところが、リンパ球に殺されずに生き残ってしまった「がん細胞」が増殖を続けてしまうと、最終的に「がん」という病気になってしまうのです。
(この仕組みを理解していれば、免疫細胞を活性化させることが予防につながる可能性があることも想像できます。)

また、「がん」は大きくなるのに20年〜30年くらいの時間を要します。
もし60歳で「がん」が見つかったとしたら、だいたい40歳くらいから増えはじめているということ。
それだけ、若いうちからの対策が重要だということになります。

「がん」は「自分自身」だったもの

さっきも説明したとおり、「がん細胞」はもともと「細胞分裂の際にコピーに失敗した細胞」です。
つまり、もともと「自分の身体の一部だったもの」ということ。
そのため、インフルエンザみたいに「ワクチン」を使うことができません。

ワクチンはもともと、体内に侵入してきた「自分じゃないもの」に対する防御機能を利用したものです。
仮にいくらワクチンを使ったとしても、「自分じゃないもの」と認識してくれないと、防御機能を発揮してくれません。

もともとは「自分自身」だったものなので、「がん」そのものが身体に悪さをすることで死に至るというわけではありません。
「がん」が大きくなって他の臓器の働きを邪魔してしまうことによって、死に至るのです。

なので、基本的な対応としては「見つけて切り取る」ことになります。

ですがこの「見つける」のが難しい…。
なぜなら、初期の段階では痛みを感じないからです。
ただ単に「がん細胞が細胞分裂してるだけ」だから、痛みを感じなくて当然ですよね。
そのため、痛みを感じて検査を受けた時には全身に広がっていて手の施しようがない状態になっていることが多いのです。
(「痛みがない」ということを知っておけば、初期段階での発見やそのための検査が重要なこともわかります。)

がんの原因は「タバコ」と「食事・肥満」

「がん」はかなり予防できるということが明らかになりつつあります。

ハーバード大学の論文によると、「がん」の主な原因

  • タバコ:30%
  • 食事や肥満:30%
  • 運動不足:5%

この3つだけで65%も占めています。
ということは、この3つに気をつけるだけで「3分の2は防げる」と考えることもできます!

タバコはリスクしかない

タバコは文字通り「百害あって一利なし」です…。
たまに「吸わないことでストレスが溜まるくらいなら、吸ってストレスが溜まらないほうが良いんだよ」とかいう人がいますが、そんなことありません…。

「ブリンクマン指数」という喫煙に関する指標があって、この指数が大きいほど「肺がん」にかかる率が上がるとさています。

「ブリンクマン指数」 = 1日の喫煙本数 × 年数

この計算結果が400〜600だと、「肺がん」のリスクが4.9倍(約5倍)になります。
仮に1日1箱(20本)を20年間吸い続けるとすると…

20本 × 20年 = 400

となって、「肺がん」のリスクが約5倍になってしまうのです!
それに「肺がん」だけでなく「舌がん」「咽頭がん」「喉頭がん」「食道がん」といった、煙が通りやすい部位の「がん」の原因にもなります。

また、いわゆる「副流煙」のほうが発がん物質が多く含まれています。
国立がん研究センターの調査では、

  • 夫が1日20本のたばこを吸う場合、非喫煙者の配偶者のほうが「肺がん」になるリスクが2倍になる

との結果が出ています。

(参考:国立がん研究センター 予防研究グループ「受動喫煙とたばこを吸わない女性の肺がんとの関連について」)

一応、タバコを吸わなくなると「肺は10年でもとに戻る」とは言われています。
ですが、そもそも吸わなければもとに戻す必要もないですよね?

最終的には自己判断ですが、少なくとも「自分だけの問題じゃない」ということだけは忘れてはいけません!

野菜と果物を増やして肉と塩を減らす

「がん細胞」 = 「もともと自分自身の細胞」
「自分の細胞」 = 「摂取した食べ物からできている」
「がん細胞」 = 「摂取した食べ物からできている」

という関係が成立するので、当然ながら日頃からのバランスの良い食事が重要になってきます。
米や肉ばっかり食べてる人は、野菜や果物もしっかり食べましょう!

農薬や食品添加物は、そこまで敏感にならなくても大丈夫です。
防カビ剤を使っている作物を食べている人のほうが「がん」のリスクが低いという研究結果もあります。
(ナッツ類や穀類に付着して、発ガン性物質を出すカビが存在)
食品添加物も食べないに越したことはありませんが、基本的には肝臓の解毒作用で無害化されます。
(身体に影響が出るまで食べるほうが難しい)
敏感になりすぎて栄養が偏るほうが、よっぽど身体に悪い!
多少のことは気にしないで、バランス良く野菜や果物を食べるようにしましょう!

 

バランスの良い食事でまず気をつけたいのが「肉」です。
「肉」は食べる量を抑えたほうが良いと考えられています。

日本人は欧米人と異なり、もともと「肉を消化しづらい体質」です。
そのため、肉の摂取が増えたことによって「大腸がん」になる人が増加しています。

具体的には、1週間あたり500グラムまでが目安です。
不足するタンパク質は、魚や大豆で補いましょう
特に魚に含まれている「不飽和脂肪酸」は、発がんリスクを下げるとされています。

参考:国立がん研究センター「赤肉・加工肉のがんリスクについて

また、「肉」以上に気をつけないといけないのが「塩」です。
塩分のとりすぎは、「胃がん」の原因になります。

日本食はバランスが取れていて健康的なのですが、唯一、塩分が多いという欠点もあります…。
日本人は世界的に塩分摂取量が多く、そのぶん「胃がん」になる人も多いのです。

厚生労働省が設定した「1日の塩分摂取量の目標値」は
・男性:8.0グラム未満
・女性:7.0グラム未満
一方で、WHOが推奨している基準は
・5グラム未満

塩分のとりすぎは「高血圧」による「心筋梗塞」や「脳卒中」の原因にもなります。

  • 汁物はダシを濃くして薄味に
  • 塩分排出効果がある野菜や果物をたくさん食べる
  • 水をよく飲む

といった、塩分を減らす工夫をしましょう

(参考:国立がん研究センター 予防研究グループ「食塩・塩蔵食品摂取と胃がんとの関連について」)

お酒は適量なら大丈夫?

お酒は飲み過ぎると、通り道である「口の中」「喉」「食道」に「がん」ができやすくなります。
肝臓にも負担がかかるので、「肝臓がん」のリスクも上がります。
一方で、心筋梗塞や脳梗塞のリスクを下げる効果もあるので、少しは飲んだほうが健康に良いとも言われています。

「がんの発症率」で比較すると、

「毎日飲む人の発症率」 > 「ときどき飲む人の発症率
「まったく飲まない人の発症率」 > 「ときどき飲む人の発症率」

と、「ときどき飲む人」の発症率が最も低くなっています。

(参考:国立がん研究センター 予防研究グループ「飲酒とがん全体の発生率との関係について」)

  • 飲む頻度
  • 飲む酒の種類
  • 1回の飲酒量

によっていろいろなパターンが想定できますが、1日に缶ビール1〜2本くらいまでならそれほど気にしなくても大丈夫です。
もちろん、毎日飲むよりは休肝日を作ったほうがリスクは下がります。

一方、最も危ないのが「喫煙者が酒を飲む」パターン…。

「タバコの発がん性」 × 「お酒の発がん性」

の相乗効果でリスクがかなり大きくなってしまします。
口の中とか喉とかは、煙も酒もどっちも通るのでかなりヤバいです!
副流煙も危険なので、タバコの煙が充満している居酒屋に頻繁に通ったりするのも危ないと言えます。

「絶対に防げる食べ物」は存在しない!

「これを食べたら絶対にがんにならない!」なんて都合の良い食べ物は残念ながら存在していません

予防のために必要なことは、基本的に2つ。

  • バランス良く塩分を控えた食生活
  • タバコをやめて酒を適量にする

ですが実は、「ある食べ物」が「がん予防」に効果があると言われています。

「にんにく」が予防に効果あり?

その「ある食べ物」とは「にんにく」です。

「デザイナーフーズプロジェクト」という、アメリカの国立がん研究所が実施した「がん予防に効く植物性の食品」を調査したプロジェクトがありました。
そしてその中で、1番重要度が大きいとされた食品が「にんにく」です。

植物には、外敵から自らを守るための「ファイトケミカル」という栄養素を持っています。
この「ファイトケミカル」が「がん予防」に効果があり、最も多くの種類のファイトケミカルを含んでいる食品が「にんにく」だったのです。

(その他の品目は、おいしい大麦研究所「がん予防効果が期待される「デザイナーフーズ」とは?」参照)

食べるとしたら、1日あたり1片で十分です。
ただし、にんにくの「匂いの成分」が重要なので、無臭にんにくだと効果はなくなってしまいます。

「キノコ」と「コーヒー」も期待できる

「にんにく」の他にも「キノコ」「コーヒー」も、「がん予防」に効果が期待できます。

キノコの栽培農家は通常に比べて「がん」になる率が半分との研究結果があります。
また、1日5杯以上のコーヒーを飲むことで、肝臓がんのリスクが76%減少するとされています。

どちらも普通のスーパーに売られているものなので、日常の生活に簡単に取り入れることができます。

(参考:国立がん研究センター 予防研究グループ「長野県の低がん死亡率と農作物との関連についての疫学研究」)
(参考:国立がん研究センター 予防研究グループ「コーヒー摂取と肝がんの発生率との関係について」)

ここで1つ気をつけたいのが、とにかく

  • にんにく
  • キノコ
  • コーヒー

3つだけたくさん摂取してれば絶対大丈夫!というわけではないということです。

バランスが偏ってしまうと「がん」のリスクは下がっても他の病気のリスクが上がってしまいます…。
それにどれだけこの3つを摂取しても、「がん」になる可能性がゼロになるわけではありません!

あくまでも、このような食品を取り入れたバランスの良い食生活を心がけることが大切なのです!

適度な運動も必要

太り過ぎはもちろん健康によくありませんが、とにかく痩せていれば良いというものでもありません。

BMI指数と「がん」の関係でいうと、

  • 男性:21.0〜26.9
  • 女性:19.0〜24.9

この範囲を外れると、「がん」のリスクが上がってしまいます。

(参考:国立がん研究センター 予防研究グループ「肥満度(BMI)とがん全体の発生率との関係について」)

つまり、痩せすぎていても「がん」のリスクは上がるということ!
無理なダイエットは身体に負担もかかってしまいます。
何か他の病気を患っているなど、痩せる必要性に迫られていない限りは、少しくらい太っていてもそこまで気にする必要はありません。

ただ、運動そのものはしたほうが良いです。
運動には

  • がんのリスク低下
  • 肥満の防止
  • 免疫機能の活性化

などのメリットがあります。
肥満の防止や免疫機能の活性化は、「がん」に限らずさまざまな病気の対策にもなります。

厚生労働省によると、

  • 毎日のちょっとした運動
  • 週に1回くらい軽く汗をかく運動
  • 1日トータル1時間くらいのウォーキング

などができれば十分だとされています。

逆に激しすぎる運動には、
・活性酸素を溜めて細胞を傷つける
・心臓に負担がかかる
・免疫が弱くなる
などのデメリットがあります。

普段の生活から、

  • 一駅分は歩いてみる
  • 車を使わずに買い物に行ってみる

といった「軽い運動をする工夫」をすることが大切です!

結論 「知識」と「健康的な生活」

一つひとつ細かく見てきましたが、「がん」対策の結論は

  • 知識をつける
  • 健康的な生活を送る

結局のところ、この2つに尽きます。

知識がないと、

  • 予防もできない
  • 検診の重要性にも気づけない
  • 発症した際の治療法もわからない

という状態に陥ってしまって、いざというときにどうしたら良いのかがわからなくなってしまいます。

また、どれだけ知識があっても、

  • 好きなだけタバコも吸うし酒も飲む
  • 野菜を食べないで味の濃いものや肉ばかり食べる
  • 少しも運動をしない

なんて生活を送っていたら、「がん」発症のリスクは跳ね上がってしまいます。

どちらか1つだけじゃなく、この2つを両立させることが「がんになりにくくするため」には不可欠なのです。

おわりに

今回は、「がん予防に必要なこと」という観点から、大きく

  • 知識をつける
  • 健康的な生活を送る

という2点について説明しました。

今回の参考書籍
『難しいことはわかりませんが、「がん」にならない方法を教えて下さい!』
の中でも繰り返し述べられているとおり、「がん」と向き合うために最も必要なこと

  • 知識をつけること
  • 情報収集すること

だと、つくづく感じました。

  • 書籍に書いてあるから
  • 医師が言っているから
  • インターネットで見つけたから

さまざまな情報があふれている現代社会では、どの情報が本当に正しいかを判断することは困難です。
だからといって、何も知らなければ何も対策することもできません。

病気になるのもならないのも、どちらも自分自身の身体のことです。
決して他人任せにせず、自分で情報を集め、自分で勉強し、何が自分にとって必要なことなのかを見極めることが大切なのだと思います。
(そういう意味では、この記事も、今回の参考書籍も、絶対に正しいとは限りません…。他の情報も集めて比べてみることが大切です。)

また、本書の中では「がん」の予防法の他にも

  • 検診の重要性や受けるべき検診の種類
  • 「がん」と診断されたときの対応方法
  • 治療方法の種類とその選択基準

などについても詳しく説明しています。

会話形式で書かれた文章が非常に読みやすく、読書になじみの薄い方でも理解しやすい書籍となっています。

  • 「がん」について知識を深めるため
  • 「がん」を考えるきっかけにするため

3人に2人が「がん」になる時代の必読書ともいえる1冊です!

「がん」だけでなく、体に良い食べ物についてはこちら!

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